【現役医師連載】美容クリニック医師の採用基準

みなさんこんにちは、美容クリニック医師の大石です。

以前、看護師の採用が難しくなっているという話を書かせて頂きました。今回は、美容クリニックで働いてくれる医師の採用について、書いていこうと思います。

初期研修医上がりの若手医師への問題点

美容クリニックの医師募集において、頭を悩ませるのが「初期研修医あがりの医師の応募」をどう扱うべきか、ではないでしょうか。

もちろん、採用するしないは当然面接等を経てから行うべきですが、あくまで一般論としてどうなのか、またできる事としては何があるのか、考えていきましょう。

まず大前提として、初期研修医上がりの若手医師にも、しっかりした人はいます。全くのゼロという事はないでしょう。

しかしながら、傾向として個人的にはなるべく避けるのが良いと思います。

問題点① カルテが書けない

医師として「カルテが書ける」というのは、もはやできて当たり前、できなければ医師とは言っていけないと思います。しかしながら、僕の経験上は、初期研修医上がりの先生は経験が不足しているからか、カルテの書き方を強く指導されていないからか、うまく書けていない事が多いです。

カルテは概ね、流派はあれど、書き方がありますよね。その書式に沿っていない、非常に読みにくいカルテを書く先生が、個人的には多い印象です。

もちろん、これが少人数で回している美容クリニックであれば、問題ありません。しかしバイトも含めある程度の人数で回しているクリニックであれば、他の先生が書いたカルテを見る機会は多々あります。

その時に、やはり見にくいカルテを書かれてしまうと、業務効率が下がるだけではなく、他の医師からも文句が出たり、変な軋轢が生まれたりする原因になります。

少なくとも、カルテを書けるかどうか。これは要チェックだと思います。

個人的には、採用面接で患者さんとの模擬問診と、カルテ記載を行なっても良いかなと思っています。

問題点② スタッフに高圧的

初期研修医上がりで美容にいきなり来る先生は、医師がえらいと思っているのか、コメディカルに対して高圧的な印象を受ける事が多いです。当然そういった先生は、コメディカルからの評判は悪いです。

コメディカルに媚びれば良いとは全く思いませんが、不必要に高圧的である必要は、どこにもありません。

コメディカルや受付含め、円滑な人間関係を維持し、無駄なストレスを感じさせないためにも、やはり高圧的な態度を取る医師は、避けた方が良いでしょう。

この点は、実際に働いてみないとわかりませんから、ある程度試用期間を設けるしかありません。

中には、患者さんに対しても高圧的で、態度が悪いという若手医師もいます。まあ、せっかく頑張って医師になってまだ2年やそこらですから、それを自慢したい、自分は偉いんだという自己陶酔に陥ってしまう感覚もわからないわけでもありませんが、そこは自分で気がついてもらわないと治りません。

そういった意味で、あくまで美容クリニックはサービス業であるという事。患者様というよりはお客様であり、お客様は高品質なサービスと美しさという結果を求めているという事を、面接などで何回も説明し、意識させておく必要があると言えるでしょう。

逆に言えば、ここで少々しつこくサービス業について念押しした程度で、別のところに行ってしまうような医師であれば、最初から採用しないほうが絶対に良いと思いますから、放流してしまいましょう。

以上から、バイト程度であれば試しに採用しても良いかもしれませんが、常勤となると正直なところ躊躇われるケースが多いと思われます。

初期研修上がりの若手医師、女性の方が良い理由

これも全くもってデータのない、恣意的な意見ではありますが、個人的には女性医師の方が、初期研修上がりの若手医師ならハズレがない事が多いです。

というのも、女性医師の場合

・元から美容に行きたかった
・美容に興味があった

という、源泉からのモチベーションをお持ちの先生や

・女性としての幸せとバランスを考えて、美容を選んだ
・将来的に家庭を持つ事も考えて、美容を選んだ

など、自分のキャリアと家庭、母親としての役割とのバランスを考えた上で、美容を選択している先生が、男性医師よりは多いのは間違いありません。

逆に男性医師の場合は

・なんとなく楽そう
・稼げそうだから

という理由で、初期研修上がりで美容医師になる事を決める先生が多く、モチベーションに差があります。

当然、この差は業務態度に現れます。

最初から興味がある先生は、意欲を持って勉強しますし、将来家庭を持った後も仕事を続けたいと思っている女性医師は、限られた時間の中でなるべく自分を磨いて、美容医師としてのキャリアを残そうと努力されます。
一概には言えませんが、あくまで傾向として、初期研修上がりの若手医師を美容クリニックで採用をするならば、上記のような傾向が見受けられるかなと思いました。

いかがでしたか?

医師の採用は、クリニックの雰囲気をガラッと変えてしまう、一大イベントです。

失敗しないように、それでいてしっかりと良い医師は逃さないように、入念に採用活動を行なっていきましょう。


▼著者
大石龍之介
株式会社ブルーストレージ代表取締役。医師としてクリニックに勤務しながら、不動産投資家としても活動している。

URL:https://bluestorage.co.jp/