【現役医師連載コラム】美容医師に必要な素質は「○○に強い」事

美容医師に必要な素質は「○○に強い」事

いきなりですが、美容系の医師に必要な素質って、何だと思いますか?

よく言われるのが「手先の器用さ」だと思います。確かに、不器用では困りはするものの、ものすごい器用じゃないとダメかというと、そういうわけでも無いと思います。

次によく言われるのが「見た目の美しさ」だと思います。これは確かに、一理あります。ただ「元の素材」の良し悪しではなく、例えば適度に運動してシェイプアップされた体であるとか、十分な睡眠を取っていて血色が良いとか、肌の保湿ができていて乾燥していないとか、ある程度は努力と人工的な力でカバーできる内容がほとんどです。あまり「元の素材」を機にする必要はないと思います。

では、美容医師に必要な素質とは、一体何なのでしょうか?

美容医師に必要な素材は「孤独に強い」事

ズバリ、美容医師に必要な素質は「孤独に強い」という事です。孤独感に耐えられる、という素質が必要になると思います。

なぜ美容医師は孤独に強い必要があるか、それは美容医師が「孤独である事が多い」事にほかなりません。

美容医師は、あらゆる側面からも孤独になりやすい存在です。

まず、立場上孤独である事が多いです。

そんなに大きくないクリニックであれば、医師は1人で、院長という立場に立っている事がほとんどだと思います。他の医師が非常勤で来てくれる事はあるかもしれませんが、基本的には医師という立場の人間が、職場で1人になってしまいます。

そして院長という立場もまた、管理者という意味では絶対に1人ですから、これもまた孤独な存在です。
何かあったら社会的な責任は自分が負う立場であり続けながら、スタッフの雇用、調整、不足した人材の確保など、院長ならではの仕事を孤独にこなす必要があります。

やはり院長という立場も、孤独の要素の1つとしては大きいと言えます。看護師を含めた他スタッフとは立場上、どうしても違う視点になってしまうのはもちろんの事、同じ医師でさえも、やはり立場は異なります。

次に、経済的な面からも孤独になりやすいと言えます。

美容医師は、若ければ20代後半、30代前半でなる先生もいるでしょう。

その年代で、例えば年収2000万円、3000万円を稼ぎ出す、同年代のサラリーマンは、まずほぼいません。いたとしてもごく一部の外資系金融、起業家くらいでしょうから、ごくごく稀で、ほぼゼロと言っても良いでしょう。

実際、20代後半から30代前半で、1000万円以上を稼ぐ人材は全体の0.4%という統計があります。美容医師と同等となると、おそらく0.1%以下、1000人に1人も見当たらないでしょう。

お金が全てだとは思いませんが、やはり経済状況があまりに大きくかけ離れた人間同士では、なかなか通う店、食べるもの、行う趣味、大きく異なってくる事が多いと思います。

同年代で圧倒的に経済力が異なっているのは、やはり孤独になりやすい立場だと言えます。

美容医師で「孤独に弱い」人が、できる事

では、美容医師の新米、もしくはこれから美容医師になろうとしている医学生もしくは研修医は、一体どうしたら良いのでしょうか?

僕が思うに「孤独に強い」とは、決して孤独にひたすら耐えられる事ではなく、孤独である状態をうまくコントロールできる事の人だと、思っております。

そのコントロール方法を身につけて実践する事で、ある程度は孤独な状態に対抗する事ができると言えるでしょう。

具体的には、上記のような孤独の原因を見つけて、それに対応して人と会う事です。

例えば、立場的に人の上に立つ立場で、同じ医師と会う事も少ないのが、美容医師の孤独の原因だと言いました。

本来であれば、同年代で同じような美容医師と友達になるのが良いですが、それも結構レアな話ですので、なかなか実現しないか、実現したとしても絶対数が少なくなってしまうでしょう。

オススメなのが「要素ごと変える」事です。

例えば、とりあえず「医師」と会ってみる。同じ「医師として」、いろいろ話せる事ってありますよね?医学的な事はもちろん、医師としてのキャリア、医師をやりながらどういう未来を描いていくか、結婚をどうするか、既に結婚して子供がいる場合は子育てをどうするか、マンションをどの辺りに買うかなど、いくらでも共通の話題が出てくると思います。

他にも例えば、とりあえず「経営者」に会ってみる。人を雇って、マネジメントして、人が足りなければそれをなんとかして調達して、給料体系やインセンティブを見直して、色々と経営者ならではの話も、あると思います。

他にも例えば、とりあえず「年収2000万円の人」に会ってみる。超エリートサラリーマンでも、投資家でも良い。お金がある人たちだけで集まって、そういう人たちだけでしか話せない内容、悩みをシェアする。これもまた孤独の解消要素の1つでもあります。

ここで「美容医師で経営者でお金がある」みたいな、自分とほぼ全く同じ境遇の人間に会おうとすると、それは本当にレアなので、なかなか会う事ができず、孤独になってしまいます。

要素を切り分けて、その切り分けた要素の人格、立場としての話でもして、酒でも飲んでみる。それって結構、確率的には低くはないですし、それはそれで解消される孤独も当然あるので、オススメです。


▼著者
大石龍之介
株式会社ブルーストレージ代表取締役。医師としてクリニックに勤務しながら、不動産投資家としても活動している。

URL:https://bluestorage.co.jp/